転職します。内定をいただき、おおむね退職調整できました。有給消化したりして4月から新しい環境に行くかと。
もともとSIerと呼ばれる、お客さん→元請け会社→2次請け会社→…という多重請け負い構造のビジネスモデルの企業で、IT技術でものを作る会社にいました。次もIT業界という同業種ではあるものの、自社のWebサービスを作るような、社員数も少なめの会社に転職します。IT業界歴は、かれこれ12年ほど。パソコンが好きなので、プログラミングやIT技術もなんだかんだ好きです。あとSIerの中でも一度転職しているので、今回の転職は人生で2回目の転職です。
以前の投稿で「仕事は人生の中心ではない」と語り、静かに働きたい、時短で働きたいと書きました。

では転職先はそんな静かで余裕があるような仕事なのかというと、少し違います。仕事とプライベートの境目は、就職後の方が曖昧です。技術力も、今まで以上に必要です。システムに障害が発生したら休日でも対応が必要です。お客さんと直にやり取りをするので、対人スキルも必要です。フルリモートではあるのでプライベートな時間を確保しやすかったりする点はありますが、上記の投稿とニュアンスは少し違うかなと。安心してください。狂った経緯を書きます。
実は転職先との最終段階での面談で、静かに働きたいことや、プライベートの音楽作りも大事にして生活を送って楽しく生きていきたいと、率直に転職先に伝えました。その回答が、「正社員として君を雇えるけど、それならフリーランスとして業務委託契約する方があってるんじゃない?」というものでした。選択肢をいただける時点でありがたい話なんですが、なるほど、確かにフリーランスなら自分のペースで働けそうだなとも思いました。
ですが、そのフリーランスという形態に、私は違和感を感じたんです。単純に正社員より仕事がなくなるリスクが高いことや、個人事業主として必要な経費等の庶務が増えたり、求められる技術力もさらに高くなるので、それらも無視できないですが、もっと根本的に「あれ?」という引っ掛かりを覚えたんです。
「すみません、ちょっと持ち帰って考えてもいいですか?」
「いいよー」
*
働き方について考えてみました。静かに生きるということは素晴らしいと、今でも思っています。それは性格的に穏やかで静かな環境が好きだからです。ただ、「静かな退職」という考えには、違和感を感じていました。指示されたことはしっかりこなすけれども、それ以上の積極的な提案や残業は避けるような働き方です。Z世代の若い方や、40代、50代の方にもそのような方が多数いるんだとか。
つまらなかった仕事を考えてみました。100名ほどで一つのシステムを作る一大プロジェクトに配属され、曖昧で膨大な要件をWordファイルにプライバシーポリシーかのように細かく記載し、チーム内の確認、プロジェクトマネージャーの確認、工程管理事業者というお客さんとシステム開発者を第三者視点で確認してくれる方々の確認を経て、ようやくお客様へ提出。そして認識違いが見つかり修正し、また同じ流れでひとつの文章を作り…ひとつの要件の合意に2週間かかることなんて、ざらでした。そんな確認作業の煩雑さや、多すぎるメンバーによって方向性を定めるために多大な労力がかかることや、全体の把握がしきれない縦割りのチーム編成などなど。組織としての繰り返し業務やプロセスにギチギチに拘束されているような状態が、私はストレスでした。
楽しかった仕事を考えてみました。20時頃にシステムの不具合が見つかり、会議室で「いつまでに修正できる?」と聞かれました。ひとつ修正案は思い付いていました。1人だと少し時間はかかりそうでしたが、メンバーと一緒にやれば、もしかしたら上手くやれるかもしれない。「2時間ぐらい猶予をください」と回答し、自席に戻ってメンバーとペアでプログラミングをしました。ここが問題。だからこう修正するのどうだろう? よかった。じゃあ修正お願いできます? 私はあなたの修正の間に試験観点を作ります。修正できた? 早いですね。ありがとう。試験がひとつ通らない、なんでだろう? あ、そういうこと? じゃあこれで修正すべきだね。動いた。他の試験もOK。システムへの反映をしていいか相談してきます。結果30分で修正ができ、お客様からお礼を言われました。自席に戻り、メンバーとやったねと讃え合いました。
昔のことを思い出しました。20代前半、私は「仕事したくない」「社会に出たくない」一心で、飲食のバイトをしながら、うだつのあがらない日々を悶々と生きていました。ある時、バイト先の先輩が辞める時があり、簡単な送別会を行いました。予定の関係で、私や辞める方も含めて4名での小さな送別会でしたが、温かい送別会でした。辞める方は、少し病気を患っていて通院を繰り返していた方でしたが、笑顔の絶えない、皆から慕われる素敵な方でした。4人で食卓を囲み、思い出話しや、今後どうしようねーと、取り止めのない会話に花を咲かせました。頃合いで、送別会らしくプレゼントを渡しました。「わーい」と喜ぶ彼女。そして「ちょっと待ってねー」となぜか自分の荷物を漁り始める彼女。
「これ、君にあげる」
なぜか辞める側の人からプレゼントをいただきました。「ものをあげるのが好きなんだよねー」とカラカラ笑う彼女は、私以外の人にも、それぞれの人柄にあったプレゼントを手渡していました。驚きもあり、嬉しくもあり、お礼を言いました。許可を得て中を拝見すると、中身は「人生の地図」という本でした。
「その本、なんか私好きでね。君に合うかなーって。自己啓発本って説教っぽいけど、それは写真と言葉が淡々と書いてある感じで。特に…ああ、そうこれこれ、ハジけるように生きるっていうの、この言葉好きなんだよねー」
*
翌週、転職先の方に「正社員として働かせてください」とお願いしました。
なぜSIerからより技術力を求められる自社系の企業に転職しようとしたか。それは自分のストレスに感じる業務を減らし、よりものづくりに集中できる環境に身を起きたいと思ったからです。
なぜフリーランスではなく正社員を選んだか。それは転職先が正社員同士ならではの技術を高め合うイベントが多く、楽しかった仕事の例としてあげたような、お互いが刺激し合えるいい信頼関係を築きやすいと思ったからです。
それはこちらの記事で書いたような「仕事が人生の中心ではない」という考えと矛盾しないと考えています。私の中では、今でも仕事は人生の中心ではありません。ですが、人生の大きな部分を占める重要な土台であることは確かです。
映画「パターソン」や「Perfect Days」のような静かに日々を綴っていく生活、素敵です。ですが私は、繰り返し業務にストレスを感じてしまうタイプでした。それなら、ものづくりに集中し切れる環境に身を置いてやろう。そう思ったんです。
もちろん音楽作りや、サイトの更新も継続します。全力を出しすぎて疲れすぎてしまうことには気をつけて、感動の多い人生を求め、次の職場でも楽しんで行きたいと思います。
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